京都中古住宅専門店【CK不動産販売】スタッフコラム姉川春と虫

スタッフコラム

2024.04.11
  • [姉川]

春と虫

 

桜が咲き、たくさんの人々が桜の美しさに感銘を受け、桜スポットでは渋滞が発生し、苛立ちが含まれる様子で案内をされるバスの運転手さんというセットが先週の土日は散見されました。京都にも春が訪れたのだなとしみじみと感じています。

 

春はとても嬉しい季節です。綺麗な花や鳥が溢れ、人々もなんだか嬉しそうに見えますし、気温も心地よく、可愛らしい春服には胸が躍ります。でも私はこの時期になると、ある事柄に心を支配され、そして不安に包まれます。

 

息子が小学1年生の夏まで話は遡ります。息子はコロナと同時に新1年生となり、入学式の翌日から6月まで学校へ通えなかった世代になります。そのため、1年生らしい、小学生らしいことはとことんさせてあげたいという親心が常にあり、夏休みにカブトムシを捕りに山へ行きたいと言われた時、私は勢いよく快諾しました。
朝3時に家を出て、自転車で山を目指し、ひんやりとする誰もいない山に、女一人子一人で挑むという暴挙を披露しながら、私の脳内には2ちゃんねるで蓄えた山の危険性の知識が走馬灯のように流れていました。しかも木のうろにはカブトムシはおらず、巨大な百足やG(怖がる方が多いと思うので、イニシャルで失礼いたします。お色味はブラウンまたはブラックになります)ばかりがいて、山道が深くなったところでついにダウン。息子と協議の結果、白み始めた空の下を全速力で御所まで向かい、蝉を捕まえるプランに変更することと相成りました。

 

そうしてやって来た2年生の夏、息子は大きな虫は難しそうだから、小さな虫の観察がしたいと言い、何気なく行った本屋さんで、蟻の観察キットを購入。そして、家に帰って説明書を読んで絶望しました。説明書には、まず女王蟻1匹と、30匹の蟻を捕まえますと書いてあったのです。HUNTER×HUNTERに出てくる怖いあの女王蟻のイメージしかない私は、恐怖を追い払うためにインターネットでとにかく蟻について調べたり、当時の職場にいた虫に詳しいスタッフさんに色々と話を聞きました。

 

蟻の知識を蓄え、近所の公園へ行き、悲鳴をあげながら蟻を捕まえました。息子は虫を捕りたいと言うのに、実は虫が大の苦手なので、本当に今起きているこの状況の意味は分からない、でもコロナでかわいそうな思いをしているだろうし、ここはお母さんとして頑張らないとという気持ちでなんとか蟻を十数匹捕まえました。

 

蟻の観察は始めはとても好調でした。観察していると、蟻たちはキスをしていたので、昼間からどういうこと?!と困惑する私に息子が、蟻はご飯を運ぶ際、労力をセーブするために口移しで運搬することを教えてくれました。でもそのうち、蟻には開拓をするタイプや軍隊めいたタイプと、仕事のタイプがあるらしく、何もすることがないとニートが続出するということが判明。蟻の観察キットの中は徐々にニートが増えていき、真面目な開拓蟻を殺虫するものまで出てきて、そして最終的に全滅しました。いまだかつてこのように悲しい夏があったでしょうか。いいえ、絶対にありません。息子は泣きながら、いつか蟻の理想郷を作ると語ってくれましたが、私はもう絶対に嫌だよ…と思いながらも、そうねいつかねと約束をしてしまったのです。

 

話はかなりだいぶ戻りますが、虫の出てくる季節でもある春。息子が再び蟻を観察したいと言い始めないか、以上の事柄から非常に心配をしています。息子は、蚊が飛んでいるだけでも、ひゃっと逃げてしまうくらい今も虫が苦手なままですが、虫を観察することへの憧れは今でもあるようです。僕はいつかファーブルさんみたいになりたいと話してくれるのですが、最近はシートンさんを目指したら?と軌道修正をついに始めました。去年の夏はなんとかうまくかわして、初めて虫のいない夏を過ごすことに成功いたしました。でも今年の1月くらいに、急に蟻の観察キットの思い出を語り出したので、ヒヤヒヤしています。

 

今年の夏はどうだったか、こちらでお知らせできる機会がもしあれば書いてみたいと思いますが、虫と関わらない夏を手に入れることに全力を尽くしたいと思います。

 

(最後に、写真は本文とは関係ありませんが、今月2日に誕生日を迎えた我が家のかわいい犬です)

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